先日、体調を崩しました。数年ぶりに熱が出て、方々に迷惑をかけつつ寝込んでいたのですが、食欲も気力もベコベコに減って、しばらくは屍のように過ごしていました。
文字を見るのもしんどいが、いかんせん暇で暇で、結局本棚の前に体を引きずって本を選んでいる私がいました。なんだかスマホよりもマシな気がして。絶対気のせい。100%寝ていた方がいいんですけど。
体調やその日の気持ちひとつで、読みたい本もくるくる変わる私が選んだのは『みをつくし料理帖』シリーズ。
こちらシリーズもので全10巻+特別巻の構成です。熱でほとんど地に落ちた食欲を、こじ開けるべく本を開いていく!
神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!
角川春樹事務所 HPより抜粋
高田郁さんの本は『あきない世傳 金と銀』シリーズも大好きです。
どちらの作品も、女だてらに己の才覚ひとつで大海原にダイブする、強くてまっすぐな女性が描かれています。江戸時代、当然商売は女性のものではなく、風当たりに耐えながらもひたむきに自分の道を切り開いていく様はとにかく応援したくなる。
『みおつくし料理帖』シリーズの主人公お澪ちゃんは、とっても魅力的なさがり眉毛を持つ苦労人なのですが、彼女の作るまごころに満ちた料理の数々は熱で浮かされた私でも食指が動きました。
食指が動くどころの騒ぎではない。どうしたってこの料理が食べたいと身悶えし、仕方ないので泣く泣く市販のゼリーを食べました。
何かを美味しい、と思えれば生きることができる。たとえどれほど絶望的な状況にあったとしても、そう思えればひとは生きていける。
「八朔の雪」 P46より抜粋
そしてこの言葉がとても沁みた。ゼリーはとても美味しかったです。
私にもこの経験は何度もあって、もうダメかも思った日のクリームパンが美味しかったこととか、めちゃくちゃにしんどくても、朝ごはんをきちんと食べればなんとか前を向ける日があることを思い出しました。『みをつくし』シリーズは料理を通してたくさんの人が幸せになっていくお話です。
主人公の周りを彩るメンバーもまたいいんですよねえ。
高田郁さんの本は、落ち込んでいる時でも読めて(病床でも可)、読んだらきちんと元気をもらえて、心のお粥本だと思っています。
先日『あきない』シリーズの特別版が上下巻どっちも出たので、読むの楽しみだな。読みたいような、読むのがもったいないような…でしばらく積んでいます。
エアお粥と本物のお粥のおかげで無事体調も回復し、グロい本読める程度に回復しました!死体が元気のバロメータなのどうなんだろう。
このシリーズも残すところ後2冊なので、引き続き大事に読んでいこうと思います。
明日も美味しいご飯が食べられますように。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
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