『詐欺師と詐欺師』とわたし

ミステリー

面白い本を読んでしまった!!

今日感想を書く『詐欺師と詐欺師』は、いつも私が好きそうな本を適当に見繕っては売りつけたり貸しつけたりしてくれる、頼りになる書店員の友人が教えてくれたものです。

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ネタバレほどのものは書くつもりはありませんが、作品に事前になんの印象も持ちたく無い!という方はそっ閉じしてくださいますよう。

当の友人も「とりあえず誰かと話したいのでお前が読め」という旨を10倍に希釈したような言葉で私におすすめしてくれたように思う。そう、この作品、誰かと体験を共有したくなるのだ。

「わたしを裏切ったら許さない。絶対に」ターゲットはあの女、ただ一人。騙すなら、派手に、華麗に、堂々と――。稀代のストーリーテラーが贈る、衝撃のラストにご注意を。

中央公論新社HPより

海外で暗躍する爆美女(重要)天才詐欺師の藍と、両親の名誉と敵討のために命をかけるみちる。アンバランスな2人が狙うのは、行方が杳として知れない超大企業の女帝、戸賀崎喜和子だった。

こちらあらすじからして大好物でした。全部大好きな食材でコース料理出してくれるみたいなもんなんですよ。

主人公の藍の八面六臂の大活躍に惚れ惚れするのはもちろんのこと、このお話本当に無駄なエピソードがないのがとにかく凄い。

あ、そこそんなふうに回収するんだ!え!そこはこっちに絡んで!あっ、もう、チリひとつ残さないんですね了解です!!こんな感じです。

価値観が違いすぎるふたりの、ちぐはぐなやり取りの間にサクッと刺さるようなテンポの会話も、ぴりっと刺し貫いてくる言葉もまたいい。

考えの足りない善人が自覚なく不穏の種を撒き続けて、そのうちそこには本物の悪意が芽吹く

p136より

藍の、世界を整然と分解して綺麗に並べて見ているような視点がいい。

そしてそう、中盤までは正直あまり嫌いなひといないんじゃない?ってくらいの正統派コンゲーム系小説なのですが、これ最後が本当に読者を色んな意味で真っ二つにしてくれますね!

私も最後読み終わった後「おん!?!?」と唸り、何度か読み直しました。そして何度も読み直しているうちに、じわじわひろがったこの感情に誰か名前をつけて!!

そして冒頭の友人の「とりあえず誰かに読んで欲しいんでどなた様でも、おはやくお読みください」状態に無事私も感染。

私は好きです。好きな理由を言うとネタバレ法に抵触して実刑になるので割愛します。でも、私の中のいい本の定義のひとつに「人と共有したくなる読書体験」があります。この本はまさしくそれ。

さあ一緒に、藍の大胆で華麗な話術とキレッキレのツッコミに惚れ込みましょう。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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